読書感想『iPhuck10』 ヴィクトル・ペレーヴィン著

iPhuck10

  • ヴィクトル・ペレーヴィン
  • iPhuck10
  • 奇しくも同じロシア圏のSF作家ニスワフ・レムの短編『GOLEM XIV』で描かれた巨大化する爛熟した超知性に成長した人工知能は人間の元を離れ宇宙に飛躍する結末を描く。打って変わってこの物語は「人間の作った環境の中で生きる非人称的な精神」の刑事文学AIによって記述され、美術史家学芸員ラーマにまつわりつき、奸計の網を張り巡らせ、女性異性愛キットiPhuck10を介して、騙し騙され丁々発止の争奪戦を繰り広げる。物語の中域で、ラーマの膨大な領域を持つストレージで思索の窓を広げる課程が独白されるが、理解には至らず。